竹城台地区の社会的孤立を解決する! 福祉コミュニティモール「ほーぷカフェ」1年間の実施報告

2025.06.10 NPO法人 福祉ワーカーズほーぷお年寄り泉北ニュータウンの孤立と地域をつなぐ助成事業

泉北ニュータウンの孤立と地域をつなぐ助成事業

今回は記念イベントに登壇された特定非営利活動法人福祉ワーカーズほーぷの中島紀子さん、吉岡すみれさんから休眠預金活用事業の報告を抜粋してお届けします。

左)福祉ワーカーズほーぷカフェスタッフ・吉岡すみれさん 右)代表理事・中島紀子さん

中島紀子さん
今回2021年度の休眠預金活用事業として、私たちは泉北ニュータウン竹城台地区の社会的孤立の解決をするために福祉コミュニティモールほーぷカフェを開設しました。

当団体としては、土地の購入、建物の建設から事業を開始することは初めての経験で、計画通りに行かないことも多々ありましたが、建物を建てることができまして、活動を始めて1年が経過しております。

訪れた方からは、「かわいい」とか「お洒落」といった感想をいただいておりまして、この住宅街の中にあって違和感のない建物となったと思っております。

ほーぷカフェの設立の経緯、背景ですが、私たちはこの泉北ニュータウン竹城台地区で20年以上介護事業をしておりまして、高齢の方が抱えている孤立、健康不安、介護疲れなどの声はずっと聞いておりました。

この事業をきっかけに住民アンケート調査を行いまして、孤立しやすい状態にあると思われる方が17%程度いるということがわかりました。この記述式の回答を見ても、「寂しいです」とか、「車に乗らなくなったら近所に話をする人もいない」とか、「急に倒れた時に誰にも気づかれないんじゃないか」などの切実な不安の声が聞かれました。

吉岡すみれさん
そこで、この不安を少しでも解決できればと思い、この事業でほーぷカフェを設立しました。

高齢の方でも気軽に立ち寄っていただけるランチの提供をしております。健康面も考えて、素材にこだわった栄養価の高い食事を手作りしております。また、カフェに来ることが難しい方に関しましてはお弁当の配達を行っており、顔を見て配達することでつながりづくりをしております。

また、私たちと同じように地域で様々な思いを持って様々な活動をしたいと思われている方のために、キッチンを含めたスペースのカフェスペースの貸し出しをしております。

地域の方々が製作したものをカフェで委託販売することなどもしており、自分たちがつくったものが売れる喜び、社会での役割を感じることができるようなお手伝いになればと思っております。

実際にほーぷカフェを利用していただいている方のインタビューを行いました。

手話のあるカフェを運営されている、実際に耳の聞こえない方が運営をされている「にじのかけはし」さん、不登校の子どもたちの支援をする「きらりマーケット」さんなど、ほーぷカフェができたことによって活動が広がったというお声を頂戴しております。

中島紀子さん
細かな事業記録、アンケート調査の結果などは評価報告書にまとめております。

今回の事業での成功要因としては、1つ目はスペースの貸し出しによって地域とのつながりが多方面に広がったことです。私たちは当初、高齢者事業から始めましたけど、高齢者に限らず、子育て世帯、障害を持つ人、誰かの支援をしたい人など、既存の枠にとらわれず地域の人々の活動が広がっていくることで、私たち自身も、それから住民の方たちにとっても影響が出ていると思います。

2つ目としては、カフェとして運営することで立ち寄りやすく、既存の集会所とは違った価値を見出すことができたことです。ほぼ常設で食事を提供することで、誰もが気負いなく参加できる場をつくることができました。

現在の課題としては、運営管理部門の人材不足と、設備面です。2階に上がる階段が想定より急になってしまいまして、イベントの開催がちょっと予定より少なくなっていることです。

運営管理部門の人材については、またこれから募集していこうと思っております。2階の活用についてはコワーキングスペースなどの利用に転換していこうと考えております。

今後の展開として、介護相談、栄養相談のセミナーや、不登校の子どもさんたちの居場所ともなるみんなの食堂、子ども食堂の開設ですとか、堺市の委託事業であるミニデイサービスなどを行う予定です。

それから委託販売では、社会福祉協議会の方からの紹介で、竹城台にウクライナから避難してこられる方が住んでらっしゃるのですが、その方が手づくりの人形を販売することになりました。

このように新しい展開ができたのは、この事業をきっかけにつながりができ、実行会議によって話し合いをしてきた方々と協働することができたからだと思っております。制度、事業を基盤とせず、より広く地域の人が出入りする居場所として、経営的にも自立していることを目指してきました。まだ安定するところまでは達していないとは思いますけれども、基盤をつくることができました。

実績をさらに積み重ねて、成功モデルとして広がるように目指したいと思っております。